(作品解説より 太田記念美術館副館長 永田生慈)
北斎晩年期における肉筆画の主だった題材の傾向を概観してみると、日本や中国の古典、花鳥、宗教画などがその大半で時様風俗を扱ったものはほとんど見出せないものである。こうした点で、本図は、純然たる風俗画とはいえないまでも、農村風景を当世風俗画で描写していることに興味がもたれるものである。
画題となっている「狐の嫁入り」は、日が照っているのに、雨が降るという天然現象を絹地に背景の墨の暈かしを十分に生かしながら、中景は物語の「狐の嫁入り」の行列を斜めに配して、画面に動きを持たせるという巧まざる構成となっている。花嫁が乗っている籠などの赤色は、天空の太陽の赤味と手前の俄雨に慌てて干し物を取り込む子供や、臼などの茶色と相俟って卓越したカラーリスト北斎の面目躍如といった作品で、北斎肉筆画中最高傑作の一つとなっている。
なお制作年は、落款から85歳、天保15(1844)年と知られる。

定価 160,000円を
特別価格 48,000円(税込)


上下表装布=洛北緞子
中廻し=貴船緞子
一文字布=新金欄
風帯=新金襴
本紙=絹本仕上げ
軸先=紫檀
印刷=多色オフセット印刷十二色刷
収納箱=桐箱上製外箱付
掛軸寸法=天地180.0糎 左右48.5糎
本紙寸法=天地96.1糎 左右34.8糎
監修・解説=永田生慈
(太田記念美術館副館長)
